ティータイム
| 小泉太郎さんの死 |
| By 川崎貴嗣(2002.03.16) |
|
3月2日、太郎さんが亡くなった。学生時代の、僅か1年間の短いお付き合いに過ぎなかったが、何故か僕の中で印象深く刻み込まれた一人である。早稲田で、そのとき彼は英文科の4年、専攻は違うが僕は新入生で、「現代文学研究会」とかいうサークルに入って知り合った。よくある文学青年の集まりである。僕は小泉さんとか先輩とは呼ばず、いつも太郎さんと呼んでいた。ある同人の創作を僕が酷評したとき、当人と論争してみろ、とけしかけたのも太郎さんであった。また、僕を生れて初めて学生デモに連れて行ったのも太郎さんで、一緒にスクラムを組んだものである。のちに、生島治郎のペンネームで文壇にデビュー、「追いつめる」で直木賞を取ったとき、僕はその受賞者が太郎さんであることを知り、感慨にふけったことを今でもはっきり覚えている。 サークル時代の太郎さんは純文学志向で、芥川賞を狙って創作に励んでいた。今でこそ日本のハードボイルド小説の草分けと称されているけれど、ミステリー雑誌「EQMM」(早川書房)の編集者であった経験を生かしてか、それとも小泉喜美子(新宿のバーの階段から転落死した推理小説作家で太郎さんの元妻)の影響か、その辺の事情は知らないが、太郎さんが純文学志向から推理小説に方向転換したことだけは確かである。同人雑誌に太郎さんが載せた創作の一篇が、僕の書棚か書箱に今でも保管されている筈だ。いつかその一篇が載った同人雑誌を探してみようと思っている。合掌■公益情報サービス主筆 |
| 公益法人制度の抜本的改革の行方 |
| By 渋谷幸夫(2002.03.16) |
|
行政改革大綱(平成12年12月1日 閣議決定)を受けてスタートした公益法人制度の抜本的改革の問題は、平成14年8月2日政府の行政改革推進本部が公表した「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」(以下、「論点整理」という)を中心として、この3月の年度末までに策定される予定の「公益法人制度等改革大綱(仮称)」(以下、「改革大綱」という)に向けて、最後の詰めが行われている。 昨年11月1日にスタートした内閣官房行政改革推進事務局(以下、「行革推進事務局」という)の有識者による「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」(以下、「懇談会」 という)も、数回にわたり論点整理において取り上げられた項目をについて議論されてきたが、出席者が属するそれぞれの立場の関係もあって、必ずしも今後の方向付けとして認 められるものばかりではない。今回の抜本的改革において不可避とされる重要項目について、これまでの経過を踏まえて、その行方と問題点を筆者なりに考察してみることにしたい。 1 法人類型 論点整理においては、法人の類型を「改革パターン(1)」(公益法人と中間法人を一体化した、いわゆる「非営利法人(仮称)」)と、「改革パターン(2)」(非営利・公益法人(仮称)と「非営利公益法人(現行の中間法人)」)で提示しているが、前者で纏める可能性が強まっている。この点は、税制面でもこれに歩調を合わせた動きが出てきたことからも窺える。 しかし、この「改革パターン(1)」を法人類型とした場合、この中に含まれる公益性を有する法人は、「非営利法人」という包括的法人類型の中に埋没してしまい、公益性があるということが概観的には明確にされないことになると考えられる。その場合、どのように法文化するのか、またはこれは税法上の問題として処理するに留めるのか問題である。 2 法人格の取得 これまでの経過では、法人格取得は営利法人、中間法人と同様に登記のみよることとする準則主義を採用する考えが圧倒的で、この方法で決まる公算が極めて大きい。だが、「改革パターン(1)」の場合には、現在の中間法人が含まれることになるから、「非営利法人」という法人格の名称とこの中に内在する中間法人という名称との調整、中間法人法の位置づけをどうするのか問題である。 3 公益性の判断 この問題は、法人制度上公益性の概念を取り入れるか否かにより、その対応が異なる。確かに、欧米諸国の場合は、団体に対する法人格の付与とは別に、特定機関又は税務当局による税制上の優遇措置に関する制度の中で公益性の認定が行われている。現状を考慮すると、仮に特定機関を行政が設けることは行革に逆行するだろうし、法人数から見ても税務当局に認定を委ねることは物理的に不可能に近い。 公益性については、法制度上公益の概念を取り入れ、定款に公益の要件を定め、これを行政が介入できない第三者機関が審議し、認証する方法が適しているのではないかと考える。 4 税制上の優遇措置 公益性を有しない法人の事業については、原則課税とすることが営利法人との競争関係からも妥当とする考え方が支配的で、これは当然のことである。現在、行革推進事務局の懇談会や政府税制調査会の非営利法人課税ワーキンググループ(以下、「非営利法人課税 WG」という)で議論されている問題は、公益性の認定とこの税制上の優遇措置を連動させるのか、連動させないのかという点だが、委員が属するそれぞれの立場から意見が別れていることだ。懇談会も非営利法人課税WGも、公益法人、中間法人、NPO法人を一体化し た「非営利法人」制度を想定して議論している。法人格の取得が準則主義に固まりつつあること、また中間法人をも新制度の下に含めること等を考慮すれば、現行法制では公益法人であるが故の「原則非課税」が、非営利法人に移行することで「原則課税」に転換する 可能性が強い。非営利法人課税WGは行革推進事務局による制度設計を待って最終的方針を決めるとしている。 いずれにせよ、この問題は公益法人制度の抜本的改革の中の最重要事項の1つに位置づけられており、その成り行きが注目される。 5 現存する公益法人の新法人類型への移行 このことは、中間法人法の制定の際にも問題となったが法制化されず、今回の改革大綱の中で方向づけがされることになっている。 現存する公益法人のうち、中間法人に相当する法人(公益性が希薄のもの、公益性がないと判断されるのも)が約4,000近くあると推測されている。これらの法人を改革後の法人制度の姿に合わせた整理ができるのか、大きな現実的な問題である。その取扱いに際しては当該公益法人から既得権の主張も当然に出てくるであろうし、また法改正に当たり国会審議の中でどう調整が行われるか、理論通りにはスムーズにいかない問題であると考えられる。 仮に法的に移行可能となった場合、これまで税制優遇等によって蓄積された財産を承継するに際して、不当な利益が生じないよう、公平かつ合理的なシステムの構築が必要であることは言を待たない。 6 民法改正と他の法律との関係 今回の制度改革に当たっては、民法の改正は当然のことながら、NPO法、中間法人法等との関係をどうするのか、特に「改革パターン(1)」を採用した場合には、上記2つの法律の扱いが問題となる。 NPO法人は、既に本年1月31日現在で9,726法人が認証されており、今後もますます増えていくことは確実である。「改革パターン(1)」の中では、公益性の判断を税法の適用に ついてのみ行うとした場合には、「非営利法人」は実質中間法人ということになろう。 公益性の判断を法人制度上の仕組とする場合には、現在のNPO法人のように行政庁の認 証ということも想定される。 中間法人法は法人類型に関係なく基本的には残る形となるのではないかと考えられるが、NPO法は公益性を有する法人の位置づけとの関係で、どういう法体系に組み込まれるのか。NPO法は、その法は既にその法制度が定着しつつあることから、また別の法体系に組み込まれることには抵抗があるのではないかと思われる。 民法は私法に関する基本法であり、「第二章 法人」の規定は各種法人の関係条項に準用されている。「改革パターン(2)」の「非営利・公益法人(仮称)」の場合には、現行「第二章 法人」について、条文の不備の部分は改正する必要はあるが、別途「非営利・公益法人法」等の制定は不要と考える。 もちろん、現行の中間法人法はそのまま残ることになる。その場合、NPO法の存在をどうするのかが問題となろう。果たして、NPO法を民法又は他の法律に吸収して処理するこ とに納得が得られるか、問題になるように思われる。 ともかく、「改革パターン」がどれになるかにより、民法をはじめNPO法、中間法人法に大きく影響してくることは避けられない。■全国公益法人協会特別委員 |